本文へスキップ

お知らせ

小鳥のくる日より ーあとがきー

活動報告写真 タイトル(発行順)

白い花たち
空とぶミミ
うみやまの友だち
さよなら るり草
小鳥のくる日


五冊の童話集の中から『小鳥のくる日』のあとがきをご紹介いたします。

あとがき
 ちいさな本を作りだしてから二十年。四冊目の『さよなら るり草』からもう六年たつ。教会の日曜学校で使った話はほかにまだ残っており、ことに絵ばなしの絵のあるものは本にしておきたいと思いながら、体力、視力のおとろえで本にならなかった。
 はじめから装幀装画をしてくださった「山嶺まりさん」の姉の、私の六十年来の親友の智子さんは、孫の新吾さんが大学生になるとすぐワープロをたたかせて、私のかわりに原稿の清書をしてくれた。私は目だけでなく、本を作る気力もなくなっていたのを智子さんは信じない。一年後、前冊から校正をみてくれた布川さんが、私がしなければいけない推敲にまでこまかく意見を入れて直してくださった。そして最後に、今年の夏から秋までフランスへ藤田嗣治の絵の修復の仕事にでかけるまりさんが、フランスのホテルで装画を考えるから原稿の初稿をもっていくといわれる。光栄で、しあわせな「バアサン」の私は自分の能力なんて問題にしていられなくなった。これまでの四冊のあとがきにかいた人々への感謝に加えて、この友情にみちた五冊目も感謝を盛大にささげることになった。
 これは多分私の最後の本になると思うので、四つの作品のあとに、私の童話の生まれたいきさつのわかる文も載せた。作品は、三十年の差のあるものを、大体、新しいのから古いほうへならべた。遺稿集というのは、一般にできがよくてもわるくても心をよせた方が読んでくださるようだ。この本もそうした、たぐいと思われる。
 私の人生そのものを見守ってくださった先輩たち、よき相棒となって本づくりを手つだってくれた人々、今まで本を読んでくださった人たち、話を聞いてくれた子供たちの顔を思いうかべて、しあわせの中に感謝をささげる。
   二〇〇〇年十二月
                   瀧本阿彌子



本を寄贈してくださった松田啓子先生から、このあとがきに瀧本先生のお気持ちがよく表れていると思うとお聞きしたので、ご紹介させていただきました。
 



 













  


一般社団法人ワカバ会

〒108-0073
東京都港区三田1-4-46

TEL 03-3451-0227
FAX 03-3452-4590
e-mail t-mita@wakaba-kai.org